つ来島航路東口付近に比べ、西口付近では、釣島方面あるいは斎島北方および南方を起終点とする船舶交通に鼻栗瀬戸方面に向かう船舶交通が加わるため、錯綜した航行経路設定となっている。 (2)交通量の設定とシミュレーション時間 平成4年に実施された来島海峡の通航実態観測から得られた時刻別の通航隻数を、南流時および北流時に分けて、図?−6−3および図?−6−4に示す。延べ3日間の観測データを基に、時刻別の合計通航隻数(したがって、1時間当たりの通航隻数の3倍となる)としてピストグラフ化したものであるが、西水道および中水道の交通量は深夜に多い。 転流時刻の変動により、南流時(左側通航)および北流時(右側通航)で転輳時間帯に相違はあるが、交通流シミュレーションにおいては、西水道および中水道共に、15隻/時間の交通量として採用した。また、東水道および来島瀬戸の交通量は2隻/時間、その他鼻栗瀬戸と斎島方面を結ぶ交通量や、大下瀬戸と斎島方面を結ぶ交通量は、航跡図等を参照し、それぞれ3.2隻/時間および1.7隻/時間程度と推定し、シミュレーション内において船舶発生時間間隔を制御する指数乱数の平均値として設定した。なお、今治港と燧灘方面を結ぶ航行経路帯も設定したが、夜間の上記輻輳時間帯には当該経路を航行する船舶は観測されていないため、今回のシミュレーションでは当該経路を航行する船舶の発生はない。 図?−6−5には、水道別の航行船舶船型比率を示したが、シミュレーションにおいても当該船型比率が担保されるような乱数により発生船舶の大きさを付与している。また、図?−6−6には来島海峡全域における通航船舶の大きさ別の平均速力と標準偏差を示したが、シミュレーションにおいてもこれらの統計的性質が模擬されるよう、各船舶の速力を付与した。 以上の条件設定に基づき、左側通航および右側通航それぞれ連続50時間のシミュレーションを実行し、シミュレーション対象海域内の船舶が定常状態となるまでの初期2時間分を除く48時間が試算評価の対象データとなる。 (3)シミュレーションによる交通流の模擬・再現状況 図?−6−7および図?−6−8には、シミュレーション開始後2時間から4時間までの120分間を抽出し、左側通航時および右側通航時のシミュレーション対象海域全域に渡る航跡を例示した。また、図?−6−9から図?−6−16には、来島航路東口付近および西口付近海域について、左側通航時および右側通航時それぞれの交通の模擬・再現状況を示す拡大図を掲載した。各回は4分間の航跡をプロットしたものであり、1分間隔で船舶の大小に応じた船型マーク(船長は実寸、幅は約2倍に肥大描画)を描画してある。各航跡の始点付近には当該船舶の識別通番を付記した。たとえば、図?−6−9および図?−6−10は、東口付近において左側通航から右側通航へと移行する過程の模擬・再現例であるが、西航する大型船(96番)が東航する大型船(60番)の後方を減速・変針避航をもって航過したあと、東航する小型船(54審および55番)の前方を探し、来島航路へ
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